『重心の位置と安定性』

【利根川の上流にある大きな町(市)なんですが・・・(^^;】

 

今回は、チト難しいかも知れませんが・・・(^^;

 

飛行機の安定性(Stability)という言葉はパイロットにとって重要なキーワードなんです(^o^)

「操縦のしやすさ」とか、「操縦の楽しさ加減」、「操縦のお気楽さ(^o^)」のことを言います。

 

安定している(Stable)飛行機と言うのは操縦が楽なのです!
パイロットはあまり何もしなくても、勝手に真っ直ぐ飛んでくれる飛行機の状態のことを
いいます。

 

実は安定している飛行機というのが傾きますと、勝手に元の姿勢に戻ろうとするのです!
そんなに苦労しなくても良い飛行機のことなのです。
英語では「Less Effort」と言います。

 

逆に、不安的な(Unstable)飛行機は、飛行機の姿勢がコロコロと変わりやすく、操縦す
るのに大変な飛行機のことなのです。
ちょっと傾いてしまいますと、元に戻るのに時間が掛かったり、逆に傾きがひどくなって
しまう飛行機を言います。
でも不安定な飛行機は、敏感なので運動性には優れています。
乗り心地は最悪、また操縦も難しくなるので安全ではありません!
相当の技量があるパイロットしか操れません(^^;
まるでロディオで荒馬に乗るのと同じだとお考え下さい。

ですから基本的に、お客様を乗せる旅客機は安定性が高く造られています。

 

戦闘機などは、敏感な動きが必要なので不安定な傾向があります。
ですから戦闘機のパイロットの技量は並ではないと考えても言いのです。
それにまた、戦闘機は航空母艦や短い滑走路からの着艦、離着陸もするのですから・・・(^o^)
もっと凄いこともご理解下さい!
滑走路が爆弾で穴ポコが空いていたら、それを避けるように着陸する訓練もやっているのです。

 

私の乗っているセスナ・スカイホーク172Pは、基本的に初心者には最高に優しく安定
しております。
なんとまぁ〜1956年(私が小学校に上がる直前)に引き渡しが始まりました。
世に出てから、もう60年も飛び続けている世界で最も売られている名機なのです(^o^)

 

飛行機には3本の軸があります。それぞれの軸に対して3種類の安定性があります。
呼び方は色々とあるそうですが、ピッチの安定性(Pitch Stablity)、ロールの安定性(Roll
Stablity)、ヨーの安定性(Yaw Stablity)です。 

 

ロールの安定性(Roll Stablity)、ヨーの安定性(Yaw Stablity)は、飛行機の設計や整備の
段階で決まってしまいます。
ロールとは主翼の左右対称に動くことをいいます。

 

実は、燃料というのは主翼の中にあります。
基本的に左右同量の燃料を入れますが、一つの燃料タンクを指定して使い続けることも
できます。
そんなことをしますと左右の重さが不均衡となり安定性は悪くなります。
パイロットは、飛行中に燃料の無くなり具合を時々チェックします。
ガス欠を起こしたらエンジンが止まって、飛行機は落っこちます。
車や船は、止まるかプカプカ浮いておくことができます。

 

燃料チェックの時、左右の主翼にある燃料の量が一定かもチェックします。
普通は左右変わりませんが、まれに訓練の仕方で左右の量が違ったりします。
その時には、多い方の燃料のあるところから供給するよう燃料バルブを変えます。

 

ヨーというのは、飛行機の前後中心の一点に上から下に串を刺して、右に左にクルクル
水平に回るイメージを持って下さい。
実は垂直尾翼がその役割をします。
飛行機では両足にペダル(ラダーといいます)があり、そのラダーで飛行機の向きを変え
ます。
日本語で「方向蛇」と呼びます。
これも設計、整備段階でほぼ安定した状態になります。

 

パイ ロットの判断、操縦の仕方で最も影響を受けるのがピッチの安定性なのです。
ピッチというのは、先ほどロディオの馬の話をしましたが、飛行機が上下に波打つ状態だ
とお考え下さい!

 

飛行機は機首の上げ下げの安定性(Pitch Stablity)を作り出す為に、飛行機全体の重心位
置が揚力(Lift)の中心位置から前の方に来る様に設計されています。

 

重心のことをCenter of Gravity(CG)と英語で言います。
揚力の中心をCenter of Lift(CL)と言います。 
重量も揚力も一箇所で発生させている訳では無いのですが、構造計算上それらの中心点を
求めます。
その中心点に全ての重量や揚力が発生していると考えても間違いではありません。

普通の飛行機では、CGがCLの前に来ています。
また飛行機はCGを中心として運動しています。
「揚力」はCGの後ろに来ているので、CGの後ろに来ている主翼は、上に上ろうとする
揚力を作り出しています。

 

主翼は上りながらCGを中心に回転しようとします。
その結果、飛行機は常に機首の方が重い状態(Nose Heavy)、機首が下向く傾向(Nose Down)
の状態になっております。
この機首が下がろうとする状態を抑える為に、実は後ろにある小さな水平翼;水平尾翼
(Horizonatl Stabilizer)が下に行く力を作り出すようにして、この回転する状態(Nose Down)
を抑えます。

 

これがきちんとできれば飛行機の水平飛行ができるようになります。
この力のことをTail Down Forceと言います。

 

水平尾翼は主翼と平行に取り付けられている場合と主翼よりも下向きに取り付けられて
いる場合があります。
主翼の後ろでは、空気は下向きに流されます。
飛行機が水平状態でも尾翼が空気によって下に押される傾向(Tail Down Force) があり
ます。

 

この「重心と揚力の位置関係」と「水平尾翼のTail Down Force」で飛行機の安定性(Pitch
Stability)を作り出しています。
まさに「テコの原理」でして、小さな力で遠い所にある水平尾翼は少しの力でも大きな
影響力があるのです!

 

もし水平飛行している飛行機が何らかの理由(風だとか、操縦桿を旋回のために回そうと
して無意識に前に押し出してしまう初心者の緊張ミス)で機首が下がりますと、スキーと
同じで飛行機の速度が上ります。
そうなりますと主翼と水平尾翼にも、より多くの風が流れてしまいます。
主翼も水平尾翼もどちらも、より大きな力を作り出します。
主翼を通過した空気は下向きに流れ(Downwash)ますので、水平尾翼ではその影響を
受けます。
また水平尾翼は遠い所にあるため、水平尾翼を下に押し下げようとする力(Tail Down
Force)が強く働きます。
そうしますと、飛行機のお尻(Tail)が下がり、テコの原理で機首(Nose) が上って、
元の位置に戻ろうとします。
また、逆に機首が上り(Pitchが上がると言います)ますと・・・飛行機は減速しちゃう
のです!
そうなりますと・・・今度は機首が下がり元に戻ろうとするのですねぇ〜(^^;

 

こうして、なんとか上下の動きを安定させようと飛行機は自然にします。
これを機首の上げ下げの安定性(Pitch Stablity)と言います。

 

ところが、先ほど書きました水平飛行している飛行機が何らかの理由(風だとか、操縦桿
を旋回のために回そうとして無意識に前に押し出してしまう初心者の緊張ミス)で機首が
下がったりしますと、初期の訓練生は慌てて、無理にその状態を直そうとします。
本当は操縦桿から力を抜けばいいのですが・・・緊張と機首が下がるとジェットコースター
に乗っている氣分になり、逆に力が入り、余計な操作をしてしまいます。

 

あのクソッタレ教官(アレレ・・・私としたことがお下品な・・・)は、
「飛行機ってのはなぁ〜、飛ぶように作られてんだぁ〜! 余計なことするから暴れんだ
 よぉ〜! 女性を扱うようにしなぁ〜(^o^) だからパイロットは女性に優しいのよ!」
「・・・」
「ホレッ! 余計なことすんな!」
「・・・」
「回転数2300回転、速度95ノット、水平直線飛行・・・それだけだぁ〜!」
「ハイ!」
と言って、速度計を見たら105ノットは出ている・・・そうかぁ〜パワーを落とそうと
して、回転数を下げますとたちまち機首が下がります。
こんどは慌てて操縦桿を上に上げますと機首が上がり、急に飛行機は上昇します。
100〜200ft=30m〜50mくらい、あっという間に上昇します。
ここでクソッタレ教官が、
「余計なことすんなぁ!って言っただろう・・・」
「・・・(じゃぁ〜どうすりゃいいの?)」
「だから、初心者はダメなんだ!」
「・・・(だから教わりに来てんだぁ!)」
「ほれっ!いいか、見ていろよぉ!」
「ハイ!」



「どうだ・・・このようにすんだよ!」
「・・・(そんなのわからんよ! ちゃんと一つ一つ教えろよ!)」

 

ビジネス・リーダーのみなさん!
最初は難しい飛行機の理論を述べていましたが、最後のクソッタレ教官との会話を熟読
下さい!

 

初心者は誰も・・・ワカランのです!
だから企業・組織で新入社員を短期に育成しようとするなら、こんな職人的教え方では
何十年掛かっても人は大量に育てることができないのです!
もちろん、特殊な技能だけは例外です。

 

基本的技能は、マニュアルを作り、そのマニュアルにそって、正しい理屈(理論)を教え、
ポイントとなる「コツどころ」を「熟練した教え上手」のインストラクターが、手取り、
足取り、教えるべきなのです。

 

その余裕が企業にあるかないかで、人材育成スピードはまったく違ってきます。

 

今回の『重心の位置と安定性』では、マニュアルと座学と実学が三位一体であるべきこと
を述べたくて書きました。

 

ここでやはり、山本五十六元帥の言葉が人育ての至言であることを確認したいですね!

 

 やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、

 ほめてやらねば、人は動かじ。

 

あるいは、

 

 やって見せて、言って聞かせて、やらせて見て、
 ほめてやらねば、人は動かず。

 

実は、ここまでをよくご存じの方は多いですが、続きがあるのです!

 

 話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
 やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。

 

 

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